|
| DATE |
|
TITLE |
|
CATEGORY |
| 2004.12 |
|
[Designer's Log]catalogue |
|
OTHER |
|
|
|
|
|
 |
| Link:Designer's Log-Official Website |
ログハウスメーカー(株)夢木香の依頼により取り組んだ、新しいタイプのログハウスのカタログを製作するプロジェクトである。
このプロジェクトにおいて、私たちは既存のログハウスの部材を使った3つのモデルプランをデザインするとともに、カタログのデザインの企画・監修に参加した。
いうまでもなく、通常の建築の設計は、実体を伴った建築物を最終的な目標として行われている。しかし、このカタログには、CGを用いたヴァーチャルなビジュアルが利用されるために、当面の作業は、カタログに掲載されるヴァーチャルなビジュアルをつくることに向けられた。
もちろん、カタログに掲載されるビジュアルが最終的にはさらに実体を伴った建築に翻訳される。しかし、ここで行われる作業が、ヴァーチャルなビジュアルを目標として進められることで、建築にまつわる本質的な問題に取り組むことが出来た。
一般的に、多くの建築家は、自らの職業的アイデンティティの根拠を機能性や形態の幾何学性、あるいは社会的正義などに設定して、設計を行っている。しかし、人々が家に住みたいと欲望する根本的な原因は、そこにはない。以前このWEB上でも述べたとおり(「Femilia」)、むしろ、建築家たちが自分たちのアイデンティティとは無関係であるとしてきた「理想とする生活への幻想」にある。
20世紀初頭から建築家たちによって検討されてきた工業化住宅は、人々を惹き付けている幻想をまったく無視している。それゆえ、建築家たちの工業化住宅は、決して「実験住宅」の域を出ることはなかった。
たしかに、住宅街に立ち並ぶプレハブ住宅は、建築家たちが検討してきた工業化住宅の成果の上に、開発されたものではある。しかし、それは決して建築家が思い描いていたような工業化住宅がそのまま実現されたわけではなく、住宅メーカーによって日本人の抱いてきた幻想を満足させる要素が付け加えられることによって、初めて日本人の家となった、といえる。
隈研吾は、大手住宅メーカーのプレハブ住宅は、以下のような等式によって、日本人の幻想と結びついていることを指摘している。
近代=プレハブ化
アメリカ=アメリカのおうちの様式
大企業=大手住宅メーカー
つまり、大手住宅メーカーのプレハブ住宅が工場生産化によって実現したのは、近代に対する日本人の抱いた幻想であり、コロニアルスタイルやフランク・ロイド・ライト風の装飾によってアメリカへの幻想を、さらに他でもない大手住宅メーカーという大企業によって建設されることによって大企業への幻想を、もらさず満足させている。
建築家の狙いは、家を成立させる根本的な条件が幻想であることにまったく気付いていなかったという意味で、まったく的外れだったといえるだろう。
しかし、「近代・アメリカ・大企業」という幻想も、バブル崩壊によって破綻に追い込まれたように思われる。大企業の倒産やリストラが、終身雇用・年功序列を基礎に築かれてきた大企業への幻想を衰退させたのを皮切りに、その他の項についても、一挙に疑いがかけられるようになった。
近代のテクノロジーと大量生産・大量消費の経済は、地球温暖化など地球規模の環境問題を引き起こし、人々に環境破壊に対する危機感を与えている。さらには、昨今の国際世論を無視したアメリカの単独行動は、アメリカへの幻想を壊しはじめているといえる。
「近代・アメリカ・大企業」という幻想の失墜にあわせて、その幻想に支えられてきた大手住宅メーカーのプレハブ住宅も、勢力を縮小させており、大手住宅メーカーの売上げは、おおむねバブル崩壊後の1990年にもっとも成長を伸ばした後、1996年以降は下降を続けている。
その象徴的な例として、2004年末にミサワHDが産業再生機構の支援を受けることになったことを挙げる事ができるだろう。
そして、その一方で、「近代・アメリカ・大企業」に代わる、新たな幻想が産み出されつつあるように思われる。
その兆候は、ここ10年で目立つようになった「環境への優しさ」を謳ったエコ商品やデザイナーの署名を全面に押し出したブランド品にみることができるだろう。
近代的な大量生産・大量消費の経済が地球規模の環境問題を引き起こしたリアクションとして、「環境を大切にしたい」というエコロジーへの幻想が、さらに、大企業という組織への信頼が失墜したリアクションとして、品質を保証するものとして「個人の署名」への幻想が、人々をひきつけつつあるのではないだろうか。
そして、実際にも、住宅産業においても、エコロジーの幻想と結びついたログハウスと署名への幻想に結びついたデザイナーズハウスが、ここ10年の間にその勢力を徐々に拡大させている。
私たちはこのプロジェクトにおいて、以上のような認識を前提として、CGなどの仮想イメージの操作によって、「エコロジー」/「個人の署名」というバブル崩壊後の人々を捉えている幻想を刺激する「家」のカタログを作り出そうと試みた。
「Designer's Log」というタイトルは、これからの「家」を成立させる二つの幻想を示すキーワードにちなんで付けられたものである。
注1:
「階級闘争としての住宅」(隈研吾著『建築的欲望の終焉』、新曜社)>> |
|
|
|
|
|
|
| DATA: |
|
|
| Client |
夢木香(株) |
>> |
| Visuals produced |
Rightning, Inc. |
|
Art Direction,
design & imagery |
Johan Prag |
>> |
| Photograph |
Zoren Gold |
>> |
|
|
|
Architecture
& Editorial supervision |
T.E.A.
(有)クワハラオフィス |
|
|
|
|
| Structural Design |
腰原幹雄 |
>> |
|
|
|
<<BACK |